パートの「年収の壁」、会社が助成金をもらいながら解決できる?
2026/5/1
結論から言うと、建設会社でも使えます。
パートや短時間労働者を社会保険に新たに加入させて、労働時間を延ばすか収入を増やした場合に、会社側に助成金が支給されます。
これが「キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)」です。
令和7年度から新設されたコースで、いわゆる「年収の壁」問題への対応として厚生労働省が用意したものです。
ただし、金額と期限については公募要領で都度確認が必要で、この記事では令和8年4月時点の公開情報をもとに説明します。
具体的な支給額は厚生労働省の公式ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html)に掲載されているパンフレットで必ず確認してください。
建設会社に関係ある話なのか
「うちは現場の職人ばかりで、パートなんていない」という声をよく聞きます。
ところが、経理・総務・現場事務所の受付・電話番など、建設会社でも事務系の短時間スタッフを雇っているケースは珍しくありません。
たとえば従業員15人規模の内装工事会社で、経理を週30時間のパートさんに任せているなら、このコースの対象になる可能性があります。
社会保険の適用拡大が段階的に進んでいる中で、これまで「130万円の壁」を意識して労働時間を抑えていたスタッフが、会社側の働きかけで社会保険に入り、労働時間も増やせるなら、双方にメリットがあります。
助成金はその取り組みをした会社に対して支払われるお金なんです。
対象になる条件
このコースで助成を受けるには、大きく3つの要件を満たす必要があります。
まず、雇用している有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者が対象で、これらの方が新たに社会保険(健康保険・厚生年金)の被保険者になること。
次に、社会保険適用に合わせて労働時間の延長または基本給の引き上げなどにより、その労働者の収入を増やす取り組みを行うこと。
そして、事前に「キャリアアップ計画」を労働組合や労働者の代表の意見を聴いた上で作成し、管轄のハローワークに提出していることです。
現場でよく見落とされるのが最後の計画提出で、取り組みを実施する前日までに提出が必要です。
「やってから申請すればいい」という感覚でいると、受給資格を失います。
これは20年間で何度も見てきたミスで、本当にもったいない。
対象事業主の要件としては、雇用保険の適用事業主であること、支給申請日時点で事業を継続していることなどが基本条件です。
建設業は業種による除外がないため、全国どの都道府県でも申請できます。
申請の流れ
まず、社会保険の新規適用や労働時間延長の取り組みを行う前に、キャリアアップ計画を作成して管轄のハローワーク(またはキャリアアップ助成金の受付窓口)に提出します。
この段階で必要書類を確認しておくと後が楽です。
次に、計画に基づいて実際に労働者を社会保険に加入させ、労働時間延長や賃金引き上げを実施します。
その後、取り組みを完了した日の翌日から6か月後が経過した日以降、一定の支給申請期間内に支給申請書と必要書類をハローワーク等に提出します。
申請はe-Govを通じた電子申請にも対応しているので、厚生労働省の公式ページから電子申請の案内を確認してみてください。
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無料で登録する →正直、この助成金はキャリアアップ計画の作成や書類準備がそれなりに手間です。
賃金台帳・出勤簿・労働条件通知書・社会保険資格取得の確認書類など、そろえる書類が多い。
顧問社労士がいる会社なら早めに相談を、社労士がいない会社は申請前にハローワークの窓口で書類チェックリストをもらっておくことをおすすめします。
こんな場合はどうなる?
すでに社会保険に入っているパートには使えない?
このコースは「新たに」社会保険の適用となる場合が対象です。
すでに社会保険に加入しているスタッフへの賃上げは、別コース(賃金規定等改定コース)の対象になる場合があります。
状況によって使えるコースが変わるので、キャリアアップ助成金全体を俯瞰しながら検討するのが得策です。
週20時間未満のパートは?
雇用保険の被保険者要件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)を満たしていることが前提になります。
週20時間未満の方の場合は、まず雇用保険の加入可否から確認が必要です。
今後さらに助成額が変わる可能性は?
あります。
キャリアアップ助成金は年度ごとに支給額や要件が見直されます。
令和8年4月にもパンフレットが改訂されています。
取り組みを行った日の時点の要領・支給額が適用されるため、申請様式も必ずその時点のものをダウンロードしてください。
古い様式で申請してしまうと差し戻しになります。
申請代行は誰に頼めばいい?
キャリアアップ助成金の申請代行ができるのは社会保険労務士です。
行政書士は労働・社会保険関係の申請代行はできないため、顧問が行政書士のみの場合は社労士に相談する必要があります。
まとめ
キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)は、パートスタッフを社会保険に加入させて収入を増やす取り組みをした事業主が対象で、建設業も全国で申請できます。
ポイントは、取り組みの前日までにキャリアアップ計画を提出すること、支給申請のタイミングと書類を正確に準備すること、この2点に尽きます。
年収の壁問題は、労働者本人だけでなく会社の人手確保にも直結します。
助成金を活用しながら、働きやすい雇用環境を整える機会として検討してみてください。
詳しい支給額や最新の要件は、厚生労働省の公式パンフレット(令和8年度版)で確認するのが確実です。
この記事は厚生労働省「キャリアアップ助成金」公式ページの公開情報(2025年4月時点)をもとに作成しています。
助成額・要件は年度ごとに変更されます。
申請前に必ず最新のパンフレット・支給要領をご確認ください。