パートや契約社員に賞与を出したら助成金が出る?建設業でも使えるキャリアアップ助成金の中身
2026/5/14
結論から言うと、有期雇用や短時間労働者に賞与または退職金制度を新たに導入して実際に支給・積立を行った建設会社は、キャリアアップ助成金(賞与・退職金制度導入コース)の対象になり得ます。全国どこの建設会社でも使える制度で、現時点(令和8年度版)で運用中です。
ただし助成金額については取組実施日によって変わるため、申請前に最新の支給要領を必ず確認してほしいのですが、それは後ほど触れます。
建設業と非正規雇用——意外と深い関係
建設現場を20年見てきて感じるのは、建設業ほど「有期雇用・短時間労働者」が多い業種はないということです。
現場作業員を季節ごとに雇い入れる、工期が決まっているから契約社員にしている、事務や経理はパートに任せている——こういった状況は、従業員15人くらいの内装工事会社でも、年商5億円の土木会社でも、普通に見られます。
ただ、こうした有期雇用の方たちへの処遇改善となると、「正社員じゃないし、どこまでやればいいのか」と腰が引けてしまう社長が多いのも現実です。
その気持ちはよくわかります。
でも、だからこそこの助成金が使いやすい。
賞与か退職金、どちらか一方を新たに制度化して実際に払えばいい、というシンプルな要件が特徴です。
このコースで何をすれば助成されるのか
「賞与・退職金制度導入コース」の要件は、大きく分けると「制度の新規導入」と「実際の支給または積立」の2つです。
すでに有期雇用の社員に賞与を出している会社は、残念ながら対象外になります。
あくまでも「新たに制度として規定し、実施した」ことが条件なので、今まで慣行的に寸志を渡していた程度では認められません。
ちなみに退職金については、中小企業退職金共済(中退共)などへの積立も対象になります。
現場からよく聞かれるのが「うちは賞与を出す余裕がないけど退職金なら積める」というケースで、そういった会社にとっては退職金制度の方が取り組みやすいでしょう。
賞与と退職金の両方を同時に導入すると加算される可能性もあるため、令和8年度版のパンフレット(厚生労働省のページから確認できます)をしっかり読んでみてください。
申請の前に必ずやること——計画届の提出
正直、この助成金で一番多いミスが「計画届を出す前に制度を実施してしまった」というパターンです。
キャリアアップ助成金は全コース共通で、取組の実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を都道府県労働局に提出しておくことが必須です。
これを忘れると、どんなにきちんと制度を整えても助成金は一切出ません。
まず、賞与または退職金制度の導入を検討し始めたら、就業規則や賃金規程の改定と並行してキャリアアップ計画書を作成します。
計画書は労働組合や労働者代表の意見を聴いたうえで作成し、所轄のハローワークまたは都道府県労働局に提出します。
その後、制度を実際に規定・導入し、有期雇用労働者への支給または積立を実施。
そこから一定期間が経過したタイミングで支給申請書類を提出する、という流れになります。
申請様式は取組を行った日付によって変わるため、支給申請のタイミングで厚生労働省の様式ダウンロードページから最新のものを取得してください。
古い様式を使うと差し戻しになります。
これも現場でよく起きるトラブルの一つです。
助成金額はいくら?——確認が必要な理由
助成金額についての記載を「要確認」としたのには理由があります。
キャリアアップ助成金は年度ごと、さらに取組の実施時期によって支給金額が変わる制度です。
過去には「賞与の場合は1人あたり○万円、退職金の場合は○万円」という形で設定されていましたが、制度改正のたびに金額が見直されています。
たとえば従業員20人の配管工事会社で有期雇用のスタッフが5人いた場合、全員分がまとめて対象になるわけですが、1人あたりの助成額と上限人数によって受取総額はかなり変わってきます。
「いくらもらえるか」を確定させてから動きたい気持ちはわかりますが、金額を公式に確認しないまま見切り発車で制度を動かしてしまうのは危険です。
必ず申請前に厚生労働省の公式ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html)または令和8年度版のパンフレットで現行の支給額を確認してほしいところです。
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すでに正社員には賞与があるが、有期雇用には出していない
これは対象になります。
むしろこのケースが一番多いパターンです。
正社員への賞与支給実績は関係なく、「有期雇用労働者等を対象とした制度として新たに規定・実施したかどうか」が問われます。
就業規則の別規程として有期雇用社員向けの賞与規程を整備し、実際に支給すれば要件を満たせる可能性が高いでしょう。
申請後、受給まで何ヶ月かかる?
支給申請から入金まで、一般的には数ヶ月かかります。
審査が混み合う時期は半年近くかかることもあるため、「今期の資金繰りに充てたい」という使い方には向いていません。
あくまでも処遇改善の取組に対する事後的な助成、という位置づけで計画を立ててください。
キャリアアップ計画はだれが作ればいい?
会社が自分で作成することも可能ですが、就業規則の改定が絡んでくるため、社労士に相談しながら進める会社が多いです。
特に初めて申請する場合は、計画届の様式の書き方や添付書類の揃え方でつまずくことがよくあります。
顧問の社労士がいる会社なら、まず社労士に相談するのが一番スムーズです。
電子申請はできる?
賞与・退職金制度導入コースも電子申請に対応しています。
厚生労働省の公式ページから電子申請のリンクに進めます。
ただし、電子申請であっても添付書類の準備は紙と変わらないため、書類不備には注意が必要です。
まとめ
キャリアアップ助成金(賞与・退職金制度導入コース)は、有期雇用のスタッフを多く抱える建設会社にとって検討する価値がある制度です。
要件のポイントは「制度の新規導入」「計画届の事前提出」「実際の支給または積立の実施」の3点に絞られます。
助成金額は取組実施時期によって変わるため、現行の支給額は必ず最新の公式情報で確認してから動いてください。
制度設計から申請まで、就業規則の整備が伴う分だけ手間はかかりますが、処遇改善の実績として社内にも残るメリットがあります。
「有期雇用の処遇をそろそろ見直したい」と思っていた会社なら、このタイミングで動いてみてください。
この記事は厚生労働省「キャリアアップ助成金」の公開情報(2025年7月時点)をもとに作成しています。
助成金額・申請要件は年度および取組実施時期によって変更されるため、申請前に必ず最新の公募要領・支給要領をご確認ください。