人材確保等支援助成金(建設分野)——「建設分野」と名がついていても、使える会社と使えない会社の差はどこにある?
2026/4/8
結論から言います。
この助成金、建設業の会社なら対象になる可能性が高い。
ただ、「建設分野」という名称がついているわりに、実際に使える会社と使えない会社の差がけっこう大きいので、まず自社の状況を整理してから読み進めてください。
そもそも、この助成金は何のための制度なのか
人材確保等支援助成金(建設分野)は、厚生労働省が建設業の人材不足・高齢化・若者離れという構造問題に対処するために設けた助成制度です。
「建設事業主等に対する助成金」として厚生労働省の公式ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kensetsu-kouwan/kensetsu-kaizen.html)に掲載されており、複数のコースに分かれています。
キャリアアップに向けた教育訓練、若年者や女性の入職促進、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進など、それぞれに要件と助成額が設定されています。
ひとくちに「建設分野の助成金」といっても、どのコースを使うかで話がまったく変わってくるので注意が必要です。
20年この業界を見てきて感じるのは、この制度を「知ってはいるけど申請したことがない」会社が驚くほど多いということです。
理由を聞くと、「うちみたいな小さな会社が対象になるとは思わなかった」という答えが返ってくることが多い。
でも実態としては、従業員が5人〜20人規模の中小建設業者こそ、制度が想定しているメインターゲットです。
対象になる会社の条件を確認する
まず押さえておきたいのは、雇用保険の適用事業所であることが大前提だという点です。
雇用保険に加入していない会社は、この制度に限らず雇用関係助成金全般が使えません。
建設業許可を持っている会社であっても、現場作業員をすべて一人親方扱いにしていて雇用保険の被保険者がいない、という場合は対象外になります。
現場ではこのパターンでつまずく会社が意外と多いので、まず雇用保険の加入状況を確認してください。
コースによっては、建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録と技能者登録が必須条件になっているものがあります。
CCUSを「いつかやろうと思っていた」という会社は、助成金を使うきっかけにしてしまうのが賢いやり方です。
登録に数週間かかることもあるので、申請を考えているなら早めに動いてください。
また、過去に不正受給があった場合は申請できません。
これは全事業主共通の制限です。
助成額と支給の仕組みを現実的に理解する
助成額はコースによって異なり、現時点では厚生労働省の公式サイトで最新の金額を確認する必要があります。
年度ごとに内容が見直されることがあるため、ここでは特定の金額を断言せず、公式情報をあたるよう強くすすめます。
ただ、一般的な雇用関係助成金と同様に「対象経費の一定割合」あるいは「一人あたりの定額」という形で設定されているケースが多い構造です。
たとえば従業員15人の内装工事会社で、若年者(35歳未満)を新規採用して一定期間継続雇用した場合、若年者入職促進コースで助成を受けられる可能性があります。
採用活動に関わる経費の一部が対象になるケースもありますが、すべての採用コストが認められるわけではない点に注意してください。
年商2億円規模の塗装業の場合、教育訓練コースを活用して技能実習的な社内訓練を制度化し、訓練時間に応じた助成を複数年にわたって受け続けるという使い方をしているケースも現場では見かけます。
こうした継続的な活用が、会社にとってのコスパを高めます。
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無料で登録する →手続きの流れ、実務ではどう動くか
基本的な流れは「計画申請→実施→支給申請」という三段構えです。
多くのコースで、取り組みを始める前に計画書を労働局やハローワークに提出して認定を受ける必要があります。
「やってから申請」では受け付けてもらえないので、これを知らずに動き始めてしまうのが最も多い失敗パターンです。
実務では、まず最寄りの労働局またはハローワークに相談窓口があるので、「このコースを使いたいのだが、いつまでに何を提出すればいいか」と直接聞いてしまうのが一番確実です。
計画が認定されたら、実際に採用・教育訓練などの取り組みを実施します。
この期間中の記録、たとえば訓練の出席簿・賃金台帳・タイムカードなどを漏れなく保管しておくことが後の支給申請で重要になります。
記録の不備で不支給になるケースを何件も見てきました。
支給申請の締め切りは取り組み終了後から一定期間以内と設定されていることが多く、期限を過ぎると一切受け付けてもらえません。
社内のだれが書類を管理するかを事前に決めておくだけで、スムーズさが格段に違います。
よくある質問
Q. 一人親方が多い現場構成でも使えますか?
直接雇用している労働者(雇用保険の被保険者)が対象なので、一人親方は対象になりません。
ただし、一人親方を直接雇用に切り替える動きと組み合わせて制度を活用している会社もあります。
そのあたりは社会保険労務士に相談しながら整理するのが現実的です。
Q. 申請は自社でできますか?行政書士に頼まないといけませんか?
制度上、事業主本人が申請することに制限はありません。
ただ、コースの選択・計画書の記載・添付書類の準備といった手間を考えると、社内に担当者を置いて労働局の窓口と連携しながら進めるのが現実的です。
社会保険労務士が代行できる手続きでもあるので、顧問がいる会社はまず相談してみてください。
Q. 複数のコースを同時に使うことはできますか?
コースごとに要件が異なり、同一の取り組みに対して重複して申請することは認められません。
ただし、採用促進と教育訓練という別の取り組みをそれぞれ別のコースで申請するケースは可能な場合があります。
必ず事前に労働局で確認してください。
Q. CCUSにまだ登録していませんが、急いだほうがいいですか?
CCUSが要件になっているコースを使いたいなら、登録は早いほどいい。
事業者登録と技能者登録の両方を済ませるのに、状況によっては1か月以上かかることもあります。
助成金の申請タイミングを逆算して、余裕を持って動き始めてください。
この記事は情報提供を目的としており、申請の代行や法的助言を行うものではありません。
最新の情報は各行政機関の公式サイトでご確認ください。